ダイエットで生活習慣病を引き起こす原因と言われる「メタボリック症候群」を防ぐには、適度な運動とダイエットが望ましいと分かってはいても、具体的な身体の動かし方に、不安や疑問を抱いている人は多い。
『男のメタボ・ダイエット』(河出書房新社刊)の著者である長野茂さんに、どのようなダイエットをしたらよいのか、どのようにしたらダイエットを続けられるのかを聞いた。
通勤中に胸を張って歩く(=エアロビクス)だけでも、エネルギー消費量が高まり、内臓も丈夫になって、疲れにくい体質になります。
動くときに意識して少し筋肉に力を込めれば、筋肉の質が高まって、脂肪が燃えやすく、太りにくい体質作りができます。
さらに「疲れたな」と思ったら、時々、全身を伸ばして(=ストレッチ)、リラックスしましょう。血行を促進させ、新陳代謝を高めることができますし、筋肉や骨づくりを助け、免疫力のある丈夫な体質になりますよ。
どれも日常生活の中で無理なく続けられることです。僕は「日常ながら運動」と呼んでいますが、これは外に向かってエネルギーを発散させることにもつながります。
体が内向きになっているときに発生するのが精神的ストレスだとすれば、ストレスがたまる暇がない状態ですからね。
今までは「面倒くさい」と思っていたことも、ながら運動の達人にとってはまたとないチャンスです。銀行のATMの前で行列ができていたら、並んでいる間にかかとの上げ下げ、腕の押し合い、お尻やおなかを引き締めたりと、ながら筋トレの時間ができます。だから、待たされていることが苦になりません。
家を出て駅に着いてから、忘れ物をしたことに気づいても、「大股で急ぎ足、これで余分に歩ける!」とポジティブに考えることができます。
ながら運動に目覚めると、とんがった心が丸く穏やかになっていくことを感じられると思います。ながら運動は「メタボリックシンドローム」を予防するという体の健康だけでなく、心の健康にもつながるのです。
日本経済新聞 - 2007/2/21