ダイエットでニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)過去2年、ダイエット食品会社ニュートリシステム(Nasdaq:NTRI)の株を買って大もうけした投資家は多い。
アメリカン・フットボール選手のダン・マリノのような有名スポーツ選手を使ったテレビ・コマーシャルで、マーケティングを活発化させ2004年から2006年にかけて株価は22倍高以上となった。
しかし、他のダイエット食品会社の多くと同様、ニュートリシステムの実績も長くは続かないかもしれない。最近の株価はたたかれ下落してきた。
31日終値は1-3月期(第1四半期)の利益はアナリスト多くの予測をかなり下回るだろうと発表したことを受けて、前日比8ドル(15.3%)安の44.05ドルとなった。
前日の30日にも10%下落した。これはシティーグループのアナリストが顧客向け調査リポートで、ニュートリシステムのウェブサイトの閲覧数が減少していることに対し、懸念を表明したことを受けたものだ。
ニュートリシステムはインターネットでの受注が全体のおよそ6割を占める。 ニュートリシステムはこの1週間で時価総額の4分の1以上を失った。
急成長は減速するかもしれないと懸念される中、インサーダーが売りを続けており、52週高値の76.33ドルからは大きく下げた。
ニュートリシステムのジム・ブラウン最高財務責任者(CFO)は、今後も引き続き健全な成長率で伸びるとの見通しを示したものの、減速は避けられないだろうとも指摘した。
「当社は大きくなったため当然ながら成長率は幾分減速していく。だが、問題はどの程度かということだ」と述べた。
ニュートリシステムが30日通常取引終了後に示した1-3月期EPS見通しは82-86セントだが、米調査会社トムソン・ファースト・コールがまとめた市場予想は94セントだ。
シティーグループのアナリスト、バデュシュカニアン氏は、調査リポートで、ニュートリシステムはまだ魅力的だとして、投資判断の「バイ」を維持した。
しかし、ニュートリシステムへの興味がさめたアナリストもいる。トーマス・ウェイゼルのアナリスト、ジム・ダッフィー氏は先週、投資判断を「バイ」から中立に相当する「マーケット・ウエート」に引き下げた。
同氏はマーケティング・プログラムの効果が薄れてきたとしている。 ニュートリシステムの過去をみると上下の変動が激しい。
設立されたのは1972年だが、1993年に破産法の適用を申請している。1999年に上場した。会社の名称を数回にわたって変更した。
2001年にはナスダック市場から、一部必要事項を満たせなかったためとして上場を一時取り消された。
翌年になると、マイケル・ハーガン氏などが作る投資家グループがニュートリシステムの株式を購入し経営権を握った。
ハーガン氏はインターネット・ソフトウエア会社のバーティカルネットの創立者で最高経営責任者(CEO)だったが、同社はドット・コム・バブルが破裂するなかで崩壊した企業の一つだ。
この投資家グループはニュートリシステムを1株62セントで全体の59%購入した。ハーガン氏はニュートリシステムの会長兼CEOに就任した。
ハーガン氏になってから、メニュー構成を変えマーケティングを再活性化させた。広告では女性顧客の使用前、使用後の写真を広告に使ったり、有名スポーツ選手と契約したりした。
同業他社が、フランチャイズ店を通じて販売するのと比較して、ニュートリシステムはかなりの部分を、電話、インターネット、テレビ・ショッピングのQVCを使い、ダイレクト・マーケティングで売り上げた。
顧客は普通、朝食、昼食、夕食、デザート用食品の28日分の月ぎめパッケージを購入する。顧客は。ミルク、フルーツ、野菜を加えて利用する。
月極のパッケージは、どういうプログラムを選択するかにもよるが、およそ300ドルだ。 ニュートリシステムによると、典型的な顧客は中年の女性で体重はおよそ210ポンド(およそ95キログラム)だ。
同社は男性客やシニア客にも攻勢をかけてきたという。顧客は平均60ポンド(およそ27キログラム)の減量を希望している。多くの場合そうはならない。
典型的な顧客は、無料のお試し期間の1週間を含め10週から11週ためし、平均週当たり1.5ポンドから2ポンド減量するという。
ハーガン氏がCEOになって最初の数年は、ニュートリシステムの業績は不安定だった。2003年は、売上高も利益も減少したが、2004年になると幾分回復した。
ところが2005年になると、驚くような回復を見せた。ニュートリシステムの売上高は2004年から5倍以上に増加し、利益は約2000%増加した。
同社によると成功したのはいくつかの要因があるとしながらも、新メニューがアピールしたことや有名人を使ったマーケティング手法などをあげた。
ニュートリシステムの株価は、2004年は1ドルを少し超えた程度だったが急騰した。この急騰でハーガン氏や投資家は数千万ドル以上もうけた。
2005年以後、ハーガン氏はニュートリシステム株110万株以上を売却している。 機関投資家も保有株式を売却した。
フィデリティ・インベストメンツは昨年ニュートリシステムの持ち株比率が7.7%だったが、現在は1.7%だ。フィデリティはコメントを拒否した。 (2月1日付Heard On The Streetより)
日本経済新聞 - 2007年1月31日